LangChainを使ったPDF要約アプリの概要
PDFファイルの要約や翻訳を効率的に行うことができるLangChainを活用したアプリケーションの作成方法とその活用方法についてご紹介します。LangChainは、OpenAIのGPT-3.5-turboを活用して、自然言語処理技術を駆使して、大量のPDFファイルから必要な情報を効率的に抽出できるようになります。
本記事では、LangChainを使ってPDF要約アプリを作成する手順や、その活用方法について詳しく説明します。さらに、実際の運用において性能やコスト面での選択肢も考慮し、最適な方法を提案していきます。
PDF要約アプリの作成方法
PDFファイルの読み込みとテキスト抽出
まず、PDFファイルからテキストを抽出する必要があります。このために、Googleドライブに格納されたPDFドキュメントをGoogle Colabからアクセスすることができます。また、CJKPDFReaderを使用することで、日本語を含む多言語のPDFファイルを適切に読み込むことができます。
読み込んだPDFファイルを、必要に応じて複数に分割し、その分割したテキストからベクターデータを作成します。このベクターデータは、テキスト間の関連性を表すもので、後ほどLangChainのAPIを使用して自然言語で問い合わせる際に利用されます。
LangChainのAPIを利用した要約作成
次に、ChatGPTとLangChainのAPIを使用して、読み込んだPDFドキュメントの内容について自然言語で問い合わせます。具体的には、gpt-3.5-turboを使用したOpenAIを使ってモデルのインスタンスを生成し、LangChainのload_summarize_chainを使用して要約を行います。これにより、PDF全体の要約が出力されます。
さらに、LangChainのChat Modelsを使用して、SystemMessageとHumanMessageをメッセージとして送信することにより、要約内容をさらにわかりやすい日本語に変換することができます。
PDF要約アプリの活用方法
情報収集や研究への応用
LangChainを使ったPDF要約アプリは、大量のPDFファイルを自動的に解析し、必要な情報を素早く抽出することができます。そのため、情報収集や研究などの分野で大変便利です。また、PDFドキュメントの内容を自然言語で問い合わせることができるため、専門的な知識がない人でも簡単に情報を把握することが可能です。
運用面でのコストや性能の検討
LangChainを使ったPDF要約アプリを作成する際には、APIの選択やPDFファイル数の設定によって出力までの時間や回答の質が変わることがあります。株式会社cross-Xの古嶋氏がまとめた記事では、OpenAI APIのgpt-4及びgpt-3.5-turboの性能について比較し、出力までの時間や回答の質を検証しています。
検証結果によれば、gpt-4の場合は検索対象となるPDF数を3個に増やすと出力までの時間が大幅に短縮されることがわかりました。一方、gpt-3.5-turboの場合は出力までの時間が若干長くなる傾向がありました。また、与えられたPDFファイルの情報を質問内容に沿ってまとめるタスクにおいて、出力も速くて得られる回答の質も差がない場合、運用上、gpt-3.5-turboの方が低コストで運用可能であることが示唆されました。
参考:https://crossx-10-tf.com/blog/chatgpt_langchain/
まとめ
本記事では、LangChainを使ったPDF要約アプリの作り方と活用方法について説明しました。PDFファイルの読み込みやテキスト抽出、LangChainのAPIを利用した要約作成などの手順を踏むことで、効率的にPDFファイルから情報を抽出することができます。
また、運用面でのコストや性能の検討を行うことにより、最適な設定でアプリケーションを実装することができます。情報収集や研究などの分野で活用できるこのアプリは、大量のPDFファイルから簡単に情報を取得することができるため、非常に便利です。
しかし、バックエンドの処理が長くFaaSでのホストが難しいことから、Webサービスとして提供することはできません。PDF1枚あたり30~60秒ほどかかってしまうため、VMやコンテナなどにホストして常時起動しておく必要があります。そのため、定常的に費用が発生してしまうことがあります。そのため、個人が利用しやすい形で(例えばGoogle Colabなどで)実行できるようノウハウを提供する方向に舵を切ることも選択肢に入れようと思います。
これからも、LangChainを使ったPDF要約アプリのさらなる発展や、その他の自然言語処理技術を活用した便利なアプリケーションの開発が期待されます。ぜひ、本記事で紹介した方法を参考に、自分自身が必要とする情報を効率的に取得できるアプリを作成してみてください。